わたしはなぜだか、場所に対する執着がとても強いような気がする。生まれ育った場所、生活を営んできた場所、あるいは一度しか足を運ばなかった場所であっても、かかわってきた場所に対して、ひとかたならぬ愛着と思い入れがあるのだ。この世では、わたしたちは寄留者でしかないのだけれども、せめて生きているかぎりは、わたしたちの足下を支えているこの場所を愛していきたいと思うのだ。身近な場所を愛すること、そして、ほかの人にとっても故郷や生活の場が同じようにいとおしいものであるということを認めること、これがわたしたちが共存していくための大切な構えではないだろうか。