☆2004年度 経済史入門
【授業表題】 「現代日本経済の歩み」
【授業内容】
現代日本経済の骨格となっている資本主義が生まれたのはヨーロッパにおいてである。そこで、この講義では、資本主義がどのように生まれ、いかなる形で日本に移殖され、どのように発展を遂げたのかについて考えたい。特に力点がおかれるのは、第二次大戦が終了した1945年から現在に至るまでの日本経済の流れについてである。その際、経営者や技術者の「生の表情」を理解してもらうために、経済小説やビデオ教材をふんだんに活用する。
また、話題になっているさまざまな経済現象を見る際に必要になる基礎的な経済用語に関しても、時代に流れにそくして解説を加えたい。
【教科書および参考文献】
堺憲一『日本経済のドラマ』(東洋経済新報社)。なお参考文献については授業中に随時紹介したい。
【評価方法】
授業中の小テスト、夏休み中のレポート、定期試験などの結果を総合的に判断して評価したい。ただし、履修者が少ない場合は、定期試験を実施せず、履修者に勉強の成果を発表してもらう方式をとりたいと考えている。このときは、出席回数も重視されることになる。
【授業計画】
一年間の講義は、ほぼ以下のような内容で進めていく。
1 われわれの持っている可能性とはなにか。それがどのようにつくられていったのか。
2 経済学を通して、どんなことを学ぶのか。
3 資本主義がヨーロッパでどのようにつくられたのか。また、その特徴とはなにか。
4 日本において、資本主義はどのような形で発展を遂げたのか。
5 戦後の日本経済は、いかなるプロセスを経て発展してきたのか。
6 わが国の社会・経済は、現在、どんな問題を抱えているのか。
☆採点の仕方教えます
2001年度に実施した「経済史入門」(持ち込み自由)の定期試験の採点基準および配点を公表します。皆さんの今後の試験勉強および試験対策の参考になれば幸いです。
なお、成績評価の方法に関しては、授業中に説明しましたが、今年度は、以下のように加算点を設定し、年度末の試験に加算しました。年度末の試験だけで合格点を取るのは結構大変です。出欠は一切取りませんでしたが、授業に真面目に出た方、レポートをきちんと出した方には高い加算点が付け加えられています。ただし、これらはあくまでも年度末試験の点数に対する加算点ですので、年度末試験を受験しなかった方には、加算点はありません。
◆6月実施の小テストで、70点以上の方は6点、69点以下の方は3点。
◆9月に実施したビデオ教材の感想文の提出者は3点。
◆秋に提出していただいた「レポート」では、トリプルAの方は60点、A評価の方は15点、B評価の方は10点、C評価の方は5点。
◆年末に授業改善のためのアンケートに協力いただいた方は3点。ただし、最後の試験で教務委員会のアンケートを提出された方は無記名であったこともあり、加算していません。
木曜日3限履修者のためのテスト
T 高度成長期に定着した日本の経済・経営についての特徴とはなにか。また、それらがその後の日本経済の発展のなかでどのように変化したのかについて述べなさい(40点)
○まず、「高度成長期の特徴」として考えられる以下のようなキーワードを含む説明文に対して各3点(最大)を配点しました。したがいまして、特定のキーワードに関して、いくらたくさん書いたとしても、一つのキーワードに関して、3点しか差し上げていません。勉強するとき、全体のバランスを考え、日本経済の流れを理解していないと、なかなか高得点を取れない仕組みになっています。対策としては、全体的な流れをよくつかんで、試験に臨むことしかありません。
キーワードの具体例としては、GNPの急激な上昇、「経済大国の出現」、重化学工業 の発展、企業集団の形成、日本的経営の定着、系列、護送船団方式、農村からの人口
の大量移動、モータリゼーション、スーパーマーケットの登場などがあります。もちろん、それ以外の点でも、的を得た叙述に関しては、点をあげています。
○また、「その後の変化」という点では、「オイル・ショックに伴う変化」もしくは「バブル崩壊後の変化」のどちらか、もしくは両方を軸にしてまとめたものを、同じような形で評価しました。
例えば、オイル・ショック後の変化としては、産業構造の変化、低成長時代への転換、経済の「ソフト化・サービス化」、製造業の重心が重化学工業からエレクトロニクス・
自動車産業に変化したことなど。また、「バブル崩壊後の変化」としては、日本的経営の動揺、六大企業集団の再編、ビッグバン・グローバリズムによる護送船団方式の修正、産業の空洞化などです。
U 次の語句について説明しなさい(45点)。
(1) プラザ合意
プラザ合意の会議の意義、内容、時期、その影響などについて説明したものに対して、それぞれ3点を配点しています。したがいまして、それらのうち、一つのことについてしか説明されていない場合は、いくら長くても同じ点になっています。
(2) 花形産業(リーディング・インダストリー)
花形産業とはなにか、それがどの時代にはなんで、時代と共にどのように変化していったのかについて、バランスよくまとまっている答案が高い評価を受けています。
(3)POS
POSとはなにか、それがいつどこで導入されたのか、その結果、コンビニはどのように変化したのかについて言及したものに高い評価が与えられています。POSとはなにかしか書いていない人がたくさんいましたが、その方は3点になっています。
V 一年間の授業を受けて、最も印象に残った事柄はなにか。また、その理由についても述べなさい(15点)。
試験問題としては少し違和感を感じられた人もいたのではないでしょうか。しかし、授業中になんども話しましたように、この設問は、意見を言ったあとに、必ずその理由を述べる練習です。したがいまして、印象に残っている事柄と理由を明確に区別して表現している答案が高く評価されています。具体的に言いますと、事柄と意見がワンセットで述べられ、内容にオリジナルな見解・考え方が認められる場合15点、それなりの事柄と理由が述べられている者は10点、事柄のみで理由が明記されていないものは5点もしくは3点としました。
月曜日3限履修者のためのテスト
T 戦後の日本経済の流れのなかで、小売業のあり方がどのように変化したのかについて述べなさい(40点)。
○ まず、小売業とはなにか、マーカーから消費者に至るまでの商品の流れ、戦後の各時期に特徴的な小売業の特色、それがどのように変化していくのかといったことが「模範解答」になります。
○ 例えば、高度成長期以前なら、デパート、個人商店を軸にまとめればいいし、高度成長期なら、スーパーマケットの登場、流通革命、対面商法からセルフサービスへの転換、安定成長期ならコンビニの登場と発展、バブル崩壊後の不況期なら、スーパーやデパートの売り上げ不振、コンビニの健闘、ネット販売、外資の参入、ユニクロ方式の登場などがキーワードになります。
U 次の語句について説明しなさい(45点)。
(1) 日本的経営
日本的経営の三本柱である「終身雇用」、年功賃金、企業別労働組合に言及している方には5点差仕上げましたが、それ以外のキーワードはすべて最大3点としてカウントしました。それが定着した時期、内容の説明、日本経済の発展との関係、外国の事例との比較、バブル崩壊後の修正の動きなどにも言及された方は高得点になっています。
(2) 企業集団
戦後の財閥解体、高度成長期における六大企業集団の形成、その実態や特徴、バブル崩壊後の再編・変容といった点に言及された方は高得点になっています。
(3)「マイカー元年」
「マイカー元年」と呼ばれるのは、1966年ですが、その時期に起こった事柄を多面的に書かれた方は高い点数が与えられています。モータリゼーション、大衆車の登場、それの意義などに言及していれば、OKということになります。
V 授業中に鑑賞したビデオ教材のうち、最も印象に残ったものはなにか。また、その理由についても述べなさい(15点)。
木曜日3限履修者のテストの問題Vと同様の主旨で出題しましたので、配点基準は同じです。
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