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![]() ・本間龍の『東京五輪の大罪』は、東京五輪が「電通の電通による電通のためのオリンピックだった」と結論づけている。何しろ電通は「招致活動からロゴ選定、スポンサー獲得」から始まってテレビCMなどの広報活動、聖火リレー、パブリックビューイング、さらに開閉会式に至るまで、すべてを取り仕切っていたのである。そしてその多くで不祥事が発覚して大きな問題になった。 ![]() ・著者はこれまでにも一貫して東京五輪には反対して、『ブラックボランティア』(角川新書)では、酷暑の中で無給で食事も宿泊も自腹でというボランティアの募り方に異議を唱えてきた。そもそもボランティアは無給を意味するわけではないのだが、それを当然視する五輪の組織委員会の主要メンバーには、高額の報酬が払われていたのである。で、その酷暑対策のお粗末さに加え、コロナ対策も不十分のままに、五輪は強行された。 ![]() ・読んでいて改めて、五輪にまつわるいかがわしさにうんざりしてしまうが、組織委員会はきちっとした総括などする気はないようである。7000億円で既存の施設を使ったコンパクトな五輪にするといったのに、国立競技場を始め多くの施設を新設し、総額で3兆円とか4兆円になるといった結果をもたらしている。おそらくメディアも本気になって検証したりはしないだろう。日本人選手が活躍したからよかったんじゃないか、などといってうやむやにしてはいけないことなのにである。
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