<所沢のダイオキシン汚染>





  所沢、清瀬ダイオキシン汚染に関する新聞記事へ



 埼玉県所沢市の東側には、産業廃棄物処理工場が乱立しており、猛毒ダイオキシンが国の基準を大きく超えて検出されています。わたしが住む東京都清瀬市は、所沢市東部と隣接しています。清瀬市との県境に大きな産業廃棄物処理工場もあり、北風のとき、わたしたちは猛毒ダイオキシンにさらされています。
 ダイオキシン汚染によって、「流産、先天性異常児の出産、アトピー性皮膚炎、小児喘息」などが引き起こされるといわれ、わたしたちの生活はおびやかされています。ダイオキシン汚染の問題が、これまでの公害と違うのは、わたしたちの生活スタイルが公害のもとを出しているということです。長期的には、これまでの大量消費型の生活スタイルを改めないかぎり、問題の解決には至りません。しかし、今現在、所沢市と近隣の市町村では、すさまじい状況になっているわけですから、短期的には行政が何らかの措置をとることが必要です。「所沢市の東半分はもはや人間が住む環境ではない」という『週刊朝日1998/4/3号』の記事を読み、緊急にHPを開設することにしました。



  
県境の産業廃棄物処理場


      
廃棄物持ち込み車を誘導する看板とトラック・ダンプの連なる道路と農家


   
立ち枯れしている木と処理施設のなか


 1998/3/25(木)に、わたしは、所沢の産業廃棄物処理施設をこの目で確かめようと、自転車で清瀬の自宅を出発しました。清瀬の中清戸からは、柳瀬川の谷に下り、谷の北斜面を登るともう所沢です。この谷の坂道に産業廃棄物処理施設がありました。ここは大きな施設で、環境総合研究所が作成した「所沢市ダイオキシン汚染シュミレーション」では2.600pg-TEQ/u以上という猛毒のダイオキシンが出ているところです。場所といい、規模といい、清瀬市への悪影響はこの施設が最もひどいと思われます。暴走するダンプにひかれないように気をつけながら、写真をとってきました。東所沢周辺は、道路があまりよくありません。歩道がないところも多く、自転車で走っていると、ダンプにひかれそうです。通行車両の多くが大型トラックなのです。積み荷は必ずしも産業廃棄物とは限りませんが、乗用車の比率がきわめて少ないという印象でした。
 武蔵野線東所沢駅よりさらに東側の道路を北進すると、もうそこは産業廃棄物処理工場銀座です。「持ち込み歓迎」などの看板が見えます。雑木林もひどい状態です。まっすぐ伸びることなく、妙に折れ曲がっていて、立ち枯れている木もあります。さらに、雑木林には、不法投棄のゴミが投げ捨てられています。産業廃棄物処理工場は、何軒も軒を連ねています。働いている人々はマスクもしておらず、健康が心配です。このような悪環境のなかでも、工場の間には、畑が広がっており、農家の人々が働いています。この畑で作られた作物が、わたしたちの食卓にきているのです。産業廃棄物処理工場が乱立する前までは、とてもいい環境だっただろうと思えるような風景が広がりますが、今では空気もどんよりと薄汚れています。
 結局、第一回目の探検は、ダイオキシン汚染の根源といわれる所沢・狭山市境の「くぬぎ山」までは行くことなく、その手前で引き返して終わりました。それでも、東所沢一帯にひろがる産業廃棄物処理工場の群れを目の当たりにし、その空気を吸い、住まうことがかくも簡単に踏みにじられてしまうのかと、愕然として、帰宅しました。「たまのさんぽみち」『清瀬編』は、武蔵野の面影の残るたまの自然を紹介する目的ではじめましたが、たまの自然のうらがわにある見知らぬわが町に出会うこととなりました。ゴミ問題は、簡単に企業のせいや行政のせいにはできない問題です。生まれくる子どもたちのために、自分のあしもとを見つめ、またたたかわなくてはなりません。



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