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●最近読んだ本 音楽とスポーツ |
宮入恭平『ライブカルチャーの教科書』(青弓社) 浜田幸絵『<東京オリンピック>の誕生』(吉川弘文館) |
・今回紹介するのは大学院で長年一緒に勉強した、二人の若手研究者の作品である。宮入恭平さんはすでに多くの著作を公表している。ぼくと一緒に『「文化系」学生のレポート・卒論術』(青弓社)を編集したし、単独で編集した『発表会文化論』(青弓社)もある。『ライブカルチャーの教科書』は以前に出した『ライブハウス文化論』(青弓社)を大幅に改訂したものだ。もう一人の浜田幸絵さんが出した『<東京オリンピック>の誕生』は、前作の博士論文をもとにした『日本におけるメディア・オリンピックの誕生 』(ミネルヴァ書房)の続編である。![]() ・この本は、そんな現状を歴史的にさかのぼり、また理論的に裏付けて、大学の講義に使う教科書に仕立て上げている。昨今論争になった音楽と政治の関係やストリート・カルチャーと法規制、アイドルばかりが売れる傾向と音楽の産業化、そしてアニメとテーマソング等々の多様化など、時事的な問題や流行も取り入れていて、学生にとっては興味を持ちやすい内容になっていると思う。講義内容準拠のテキストは、ぼくと一緒に何冊も作ったから、お手の物だ。 ![]() ・1964年のオリンピックは、この中止になった40年から敗戦を経て、経済成長が本格化した時期に行われた。高速道路や新幹線を開通させ、東京の町を整備して、敗戦からの復興を短期間で成し遂げたことを世界に向けて発信する大きな機会になった。この本は最初の招致活動から中止、そして戦後の再招致活動から開催までを、新聞記事などを丹念に調べながら追っている。 ・前著の『日本におけるメディア・オリンピックの誕生 』は日本が戦前に参加したロサンジェルスやベルリン大会について、主にラジオと新聞による報道を分析したものだった。それこそライブ中継ができなかった時代に、どうやって臨場感のある中継をするか。そんなことも含めて、日本という国の盛衰や、さまざまなメディアの発達とスポーツの関係がよくわかる内容になっている。 ・映像や音声の技術がデジタル化して、いつでもどこでも好きなものを楽しむことができるようになったのに、音楽にしてもスポーツにしても、ますますつまらないものになっている。ぼくはこの2冊を読みながら、そんな皮肉な現象を再認識した。来年の東京オリンピックなどは愚の骨頂だろう。 |
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