立川断層の活動性評価食い違いについて

 立川断層の活動性の調査を行った結果を、地震調査研究推進本部がHPに公開している。

その活動性評価から、立川断層の予想活動時期が異なっている報告がある。これらのどこが違うのか、またどうして異なるのか、という点を比較して考察する。

 地震調査研究推進本部地震調査委員会の「立川断層の長期評価について」の情報によると、立川断層の断層帯の平均活動間隔は、1万〜1万5千年程度とされており、最新活動時期が約2万〜1万3千年前の間に起こったと予想している。このことから、断層の活動が起こる確率は、30年以内に0.5〜2%、50年以内に0.8〜4%、100年以内に2〜7%、300年以内に5〜20%という予想になった。しかし、河川堆積環境の変化から求めた最新活動時期は、上記よりも大幅に新しい時期となり、活動間隔が短くなることがわかっている。

 次に「活断層調査成果報告」の情報によると、平均活動間隔が5千年と予想している。最新活動時期が1千〜1千8百年とみられており、平均活動間隔の半分にも満たない状況であるため、近年ではまず起こらないだろうとしている。

立川断層の長期評価について
活断層調査成果報告
平均活動間隔
約1万〜1万5千年
約5千年
断層活動の起こる確率
300年以内に5〜20%
近年ではまず起こらない

 では、どのようにして活動性評価に食い違いが起こったのだろうか。

調査をしている場所や、調査の方法、調査した方の見方の違いなど、違いはさまざまな点においてある。たとえば、「立川断層の長期評価について」では、平均変位速度量を0.02〜0.03m/1千年と見ているのに対して、「活断層調査成果報告」では、0.06m/1千年と見ているのである。

「立川断層の長期評価について」の注意書きの部分には、「断層の最新活動時期がこれよりも大幅に新しい時期で、平均活動間隔も短いとする説もある。その場合、最新活動後、評価時点までの経過時間は平均活動間隔に比べて短い時間であるため、地震後経過率、地震発生確率、及び、現在までの集積確率も大幅に小さな値になる。」と記されている部分が見られることから、正確な平均活動間隔や、断層活動の起こる確率を求めることはきわめて困難であることがうかがえた。

参考

地震調査研究推進本部