『学び方・ライフスタイルをみつける本』
下羽友衛(太郎次郎社、1998)
この本の帯には、私の大学院時代の恩師である佐藤学先生の次のようなコメントがある。「若者たちは沈黙のベールの下に、まばゆいほどの学びへの渇望と未来への意志を抱いている。この厚いベールを引き裂いた下羽ゼミの威力はすごい」このコメント通りに、下羽ゼミでは、巷でいわれる大学の授業崩壊という声とは裏腹に、アクティブな(自分の生き方を変え、社会に向かう)学びが生まれている。
下羽さんは、キプロスで「紛争研究をおやりになっているのなら、その解決方法を教えてほしい」と真剣に尋ねる市民と出会い、自分の研究のあり方を厳しく問い直されている。そして、その後、「人間らしい豊かな生活」を実現するための学びを大学にもちこむために、さまざまな工夫を行っている。大学生の学ぶ意欲の減退を、学びを変革につなげる筋道が見出せないためであると分析し、学生をエンパワーメントするための方法として、「行動へのモチベーションをうながす循環プロセス(行動→社会への影響・社会への変化→感動・自信→行動)」を準備している。私と同業者であり、同じく趣味の野球を通して学びを模索している下羽さんは、大学で学びをクリエートしたいと考える者に知恵と勇気を与えてくれる。