『よくわかるダイオキシン汚染』
宮田秀明(合同出版、1998)
近年の産業廃棄物処理場の汚染問題などを通して、ダイオキシンということばを知らない人はほとんどいないであろう。だけど、ダイオキシンとは一体どういう性質をもつ物質なのか、これまでどのような被害があったのか、厚生省や環境庁の安全基準は大丈夫なのか、母乳汚染についてどのように考えたらいいのか、こういった具体的なことは、多くの人々には閉ざされたままであるように思う。本書の著者宮田秀明は、摂南大学薬学部の教授でカネミ油症事件以来、廃棄物や食品中の汚染物質の研究を地道に続けてきた方である。本書では、普通の人にもわかるように丁寧かつ親切に、それでいて専門的にもレベルを落とすことなく、ダイオキシン汚染の恐ろしさを伝えている。ダイオキシン問題を考える確かな手かがりとなるありがたい一冊である。