『こことからだの本 ありのままの自分がいい』

クレア・パターソン著/リンジィ・クィルター絵(太郎次郎社、1991)



 少年期・思春期のセクシュアリティという副題をもっているこの絵本は、性をよきものとして子どもたちにわかりやすく伝える意図をもった本である。そもそも神さまが私たちに与えて下さった性は、わるいものではあるはずがない。私の先生は、「ひとは至福の瞬間にその命を授かる」という名言を吐いたが、私もまた性をひたすらよきものと思っている。ただ、それを不幸なもの、傷つけるものにしてしまうのは、人間の賢(さか)しさのゆえだろう。だから、性のネガティブな面を伝えるだけでは不十分であり、性の喜び、よさについてきちんと伝えていくことが、自己肯定感を高め、幸福な性を生きるための大切なことであるように思えるのである。こんな絵本を、小学校、中学校の頃、読んでいたかった。そう思わせてくれる一冊である。ちなみに著者はニュージーランドの出身で、この本は「ニュージーランド図書館協会子どもノンフィクション大賞受賞」とのことである。