『悪童日記』

アゴタ・クリストフ(早川書房、1991)



 今週から3週間連続で、アゴタ・クリストフの三部作の紹介。アゴタ・クリストフはハンガリーとオーストリアの国境近くの村で生まれ育ち、1956年のハンガリー動乱のとき西側に亡命したという経験をもっている。この三部作は、アゴタ・クリストフのこうした個人史を反映した作品となっている。一冊目『悪童日記』は、おばあちゃんと2人の孫がサバイバルする過程を描く。生き抜くためには、何が起こることも厭わない。同情抜きのリアリズムと乾いた文体が衝撃的だった。