メールのアドレスを公開すると「処理しきれないほどのメールが舞いこむんじゃないか」と聞かれることがよくある。「そんなことありませんよ。」とこたえることにしている。実際、知らない人からのメールは月に数件といったところだから、今のところそんな心配は無用だ。もちろんぼくのホームページに宛てた匿名のイタズラなどは一度もない。
インターネットのホームページやネットワークのフォーラムには人を誹謗中傷したり、怪情報を流したりといったケースがあるようだ。酒鬼薔薇少年についてのホームページの話は最近の目立った例だろう。確かに自分が何かの被害に遭う危険性はあるかもしれない。電話のイタズラや勧誘に腹を立てたり、気味悪がったりすることは少なくないから、それがメールやホームページにまでおよんではたまらない。そんな不安を感じる人が少なくない。
ひょっとしたら、僕のホームページやメールのアドレスが狙われにくいのは、それが大学の教員のものだからなのかもしれない。けれども、だとしたら、狙われにくくする方法があるはずである。ネット・サーフィンをしてると、ときどきプライベートなことをオープンにした無防備な感じのページを見つけることがある。ふざけたメールを送るとか、つけこんでやろうかといった気をおこさせる原因は、たぶん被害に遭う人の方にもあるだろう。
もっとも、だからといってやたらガードを固くしたら、ホームページは関心を持たれないし、メールのアドレスも秘密にしておいたのでは、知らない人から投函されることもない。結局、どういった枠組みを設定して、未知の相手にどの程度の距離感をつくりだすかの問題なのだと思う。
ぼくのホームページは、たぶん、気安くメールを出せる感じではないのだと思う。出すときには、それなりの目的が必要だと感じるに違いない。実際、ぼくは、そんな枠組みを意識してページを作っている。オシャベリだけが目的のメールにつきあう気などさらさらないし、ベル友やメール友などがほしいなどとも思っていない。
しかし、それでも、おもしろい出会いは結構ある。
例えば、同志社大学のイチロー君はぼくの20数年下の後輩だが、ぼくのホームページを見てメールを送ってきた。「後輩です。ぼくのホームページも見てください」。で去年の秋から時折メールのやりとりがあって、お互いリンクもして、7月の末にはじめて顔を合わせた。4年生で就職試験が思うようにいかなかったことや、ゼミの教師と馬が合わないこと、卒論に富山県の山田村(電脳村で話題になっている)を調査してみることなどを話した。メールのやりとりやお互いのホームページを見ていることもあって、とても初対面とは思えないほど、話がはずんだ。
信州の三浦さんは大学の先生だが、フォークシンガーでもある。たまたまぼくのホームページを見つけて、似た人がいるものだと感じてメールを送ってくれた。実は、ぼくは彼のことをよく知っている。歌も何度も聴いたことがあった。けれども、直接話をしたことはなかった。彼もホームページ(http://nagano.com/journal/miura/)にエッセーを載せていて、お互い感想を交換した。
Yukaさんは東京にあるアメリカの大学に通っている、活発そうな女性である。サッカー・ファンについてのレポートを書くための資料を探して、ぼくのページにたどりついたのだ。アルファベットしか使えないパソコンのために、やりとりは英語になってしんどかったが、なぜ彼女が今の大学に行ったのか、高校生の頃の様子から詳しく書いてくれて、おもしろかった。
今のところ、こんな出会いが月に一人ぐらいある。おもしろいなと感じられる、ちょうどいいペースだと思っている。
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