Some E-mails

Back Next



●最近来たメールから
  • 鈴木千世さんが卒業してから、もう4年半になる。今年の年賀状に、結婚していきなり二人の子どもの母親になったと書いてあって、びっくりさせられた。彼女からの連絡は唐突で、いつでも驚かされてしまう。実は彼女は再婚で、最初の結婚は数ケ月しか持たなかった。ぼくは結婚式に呼ばれたのだが、都合が悪くて出席できなかった。ちょっとすまなかったという気持ちがしこりのように残っていたが、離婚したという連絡をもらったときには、やっぱり欠席して正解だったと思った。実はそんな予感もしたのだった。
  • ゼミの学生が毎年20名前後卒業していく。それっきり何の音沙汰もない、あっさりした連中がほとんどだが、何年も連絡を続けてくれる人たちも2割ほどいる。たいがいはゼミの時間でもないのに研究室にたむろしていた人たちだ。もちろん勉強のためにというわけではない。だから、成績がよかったのは少ないが、それなりに印象に残る卒論を書いて卒業していった。鈴木さんは映画が好きで「ミニシアター論」を書いた。
  • 鈴木さんはゼミのボスで、男の子達をとっかえひっかえ「アッシー君」に使うような女の子だった。CDを研究室に持ってくると、ぼくが聴いているのを断りもなしに止めて、自分のものに変えてしまった。「あのね、ぼくが聴いてるんだよ」などと言ってもお構いなし。部屋の主が誰なのかわからないような年だったという印象ばかりが残っている。
  • で、彼女のホームページのことだが、これが何ともかわいい。あの鈴木さんとは似ても似つかない世界なのである。ここに載せたのは子ども達が書いた絵だが、しっかりお母さんをやって、子ども達と楽しくつきあっていることがよくわかる。詳しい中身については、ぜひ直接訪ねて見て、読んでほしい。しかし一応メニューぐらいは紹介しておこう。遅くなったが彼女は、今は西さんである。
    • 「Children's」
      (子ども達の成長記録と彼らの芸術作品)
      「はな日記」
      (柴犬の紹介と日常生活の様子)
      「Music Factory」
      (大好きな音楽や映画について)
      「お仕事募集」
      (在宅ワークの募集)
      「Afternoon Tea」
      (最近のできごとなど主婦のひとりごと)
  • 去年、あるいは今年卒業した人たちから、「仕事を辞めた」というEメールや手紙をいくつかもらった。この不景気に何やってんだ!!と思うが、みんなそれなりに日常の生活や将来の見通し、あるいはアイデンティティについて考え、悩んでいる。思い通りになる人生などというものはあるはずもないから、ぼくは相談されれば、「やめたらあかん」と答えることにしている。しかし、気に入らない現状にとどまっていては何も変わらない。だから心の中では、自信と元気があるなら、まだまだやり直しはいくらでもできる歳なのだから、やりたいようにやったらよろしい、と思うことも多い。
  • 実はぼくだって、定年まで同じ仕事をなんて決めてしまっているわけではないのだから。