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・恒例の3年ゼミの合宿。ぼくにとっては9回目の三田だが、大半の学生にははじめての場所だ。ここで毎年、卒論のテーマ報告をやっている。2泊3日。今年のゼミは15名で、参加者は12名。28名なんて年から比べると簡単なものだが、それでも一人30分で全員では6時間に及ぶから、なかなかしんどい。 ・このセミナーハウスは山の上にある。六甲山の北側で、三田の町がよく見える。JRの福知山線をもう少し行くと丹波篠山で、山ばかりの風景だが、大規模なニュータウンがあって、神戸や大阪に通う人たちが多く移り住んできている。大学のある茨木からは名神と中国道で30分ほどで来てしまう。 ・いったん山に上がれば、下界とは隔絶されてしまう。ここで集中して勉強。その報告の内容は、またゼミのページで紹介するが、まあまあといったところだろう。ただ、例年になく学生同士の質疑応答があって、ぼくばかりが発言したとしに比べると、楽だったし、面白かった。食事の時には大川君の号令で手を合わせて「いただきまーす」。 ・発表は予定通り2日目の午前中で終わり、午後は自由時間。テニスをするか卓球か、あるいは部屋でごろ寝。今年は自動車できた者が少ないから、街に遊びに行こうという者はいない。ぼくはたまに家の付近の山を歩くが、そこで出会うのはほとんどが中年以上の人たちで若い人たちはめったに見かけない。だから、「散歩をしようか」と誘っても、いつも、ほとんどついてこないし、露骨にいやな顔をされてしまっていた。ところが今年は珍しいことに、ほとんど全員が乗ってきた。で、軽く付近を一周ということになった。 |
・山の上からJRの道場駅まではアスファルトの道がある。そこを歩いて川にぶつかったら鎌倉峡をさかのぼる。途中に百条岩という断崖絶壁があって、そのふもとではロック・クライミングのまねごとができる。何人かが果敢にアタック。そこを過ぎると道は渓谷沿いに細くなった。途中で道が二股に分かれ山側を行くと、次第に険しくなって、やがてなくなった。後戻りするか、そのまま上まで登るか。山を越えれば、セミナーハウスはすぐだから、思いきってそのまま進むことにした。 ・ところが、これがなかなかきつい。足場が滑ったり、つかんだ木の枝が折れたりして、わあわあ、きゃあきゃあと大騒ぎ。木下君の靴が脱げて、下から上がってきた荒木さんが受けとめた。途中でバスケット・ボールを拾った田中君も余裕がなくなって捨てた。ぼくはリーダーだから、平気な顔をしていたが、けがをしないか、実は内心不安だった。 |
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・40分ほど登ってやっと上についた。見上げた百条岩が下に小さく見える。山を登った達成感。満足そうな顔、顔、顔。思わず「ゴール」と叫ぶ人もいたが、それは甘い考えだった。 ・しばらく道に沿って歩いたが、かなり遠回りの感じがした。セミナーハウスはすぐそこに見えるのに、道は反対の方角に続いている。そこで、ショート・カットをしようとした。歩き始めてから2時間半。みんなもう充分という顔だった。 ・ところが、テニスコートが目の前にあるところまで来て、断崖になってしまった。引き返して別のルートを探す。枯れ枝や草が繁っていて歩きづらい。野バラの棘がやっかいで、手や足にひっかき傷ができた。ぼくは先回りして下に降りる道を探して、また引き返した。 ・「もう歩くのいや!」と言い出す人が出るかもしれない。しんどい限りだが、みんなを引っ張ってきた責任上、無事にたどり着けるようにしなければならない。最初は先を歩いていた男の子たちが少し離れてついてくる。先頭は女の子たちばかり。「泣き出しそう」などいいながら、顔は笑って結構楽しそう。元気、元気。ぼくはほっとして、「もうすぐだ」と言ったら、熊沢さんに「それもう聞き飽きた」と言われてしまった。で、悪戦苦闘の末、本当の「ゴール・イン!!」ベンチに座ってみんな放心状態。軽い散歩が3時間半の大冒険。しかしまあ、とにかく、無事で何より。ヤレヤレ.......。 |
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