Back | Next |
---|
![]() ・ツアーを企画するとまず、ダンサーなどのオーディションからはじめる。そこで選び出された人たちに、マドンナは「グラス(マリファナ)はやる?」といった質問をする。病人やけが人が出ることを心配しているのだが、彼女はツアー中はアルコールもほとんど口にしない。ステージでは踊りっぱなしで、歌いっぱなしだから、息など切らしていてはとても勤まらない。ジョギングとストレッチを欠かさない日課から、20代のダンサーたちに負けない体力と気力が維持される。48歳になっても衰えない魅力がきびしい鍛錬と禁欲の精神によって保たれているのがよくわかる。 ・このドキュメントは前作の"American Life"発売直後のツアーだったようだ。ブッシュが再選された大統領選挙の期間だったこともあって、イラク派兵に対する批判をこめた歌もあり、軍服姿で登場する舞台もあった。「ボウリング・フォー・コロンバイン」を監督したマイケル・ムーア が9.11以降のブッシュの政策を批判した「華氏911」を発表した直後で、マドンナは、その主張を強く指示し、コンサートに招待して、ステージからも訴えた。客の中にはそのメッセージに反感を持つ人もいたようで、楽屋に戻るとさっそくそのことが話題になり、また、ムーアへのインタビューも挿入された。"Rock Against Bush"といったアルバムも出て、ロック・ミュージシャンがこぞって反ブッシュという姿勢を鮮明に出した時期だった。 ・ドキュメンタリーにはパートナーのガイ・リッチーや息子や娘たちも登場する。子どもの前では母親になり、パートナーの前では妻になる。あたりまえだが、こんな光景も、マドンナだと意外な一面として新鮮に映ってしまう。ガイ・リッチーはアイルランド系なのか、イギリスやアイルランドのツアーでは同行してもパブに入り浸りで、逆にマドンナが迎えに行ったりする。そして、まるで妻のような愚痴………。他にはマドンナの父親も出てきて、子どものころの話などをして、題名通り彼女の「秘密」を教えてもらった気がした。 ![]() ・彼女はニューヨークが好きなようだ。ロスやパリやロンドンでは、狂ったり、悲しくなったりする。「ニューヨークは叫んじゃうような小さなプッシーの人には向かない」なんてある。なるほどこういう愛し方もあるのかと思う。彼女ならではの告白かもしれない。この歌をパリやロンドンで歌ったときの観客の反応はどうだったのだろうか。きっと返答を考えて、この曲をやるのを待ちかまえていた観客が大勢いたはずだ。日本の都市はでてこないが、ドキュメントでは「日本人のビジネスマンが携帯鳴らしても怒らない?」と話して周囲を笑わせるシーンがある。彼女にとっての日本人のイメージはこれか、と思うと、ぼくも悲しくなった。 ・マドンナはアフリカ人の赤ん坊を養子にした。孤児ではなく親がいる子どもで、ずいぶん物議を醸したようだ。そういえば、アメリカ人のスターたちは、アジアやアフリカからたくさん養子を迎えている。マドンナはそれと同時に、300万ドルもの寄付もしたようだ。イギリスの古城も購入したという。そのうちイギリスの貴族の称号がほしいなんて言い出すかもしれない。のし上がって名声と財産を手にした人は偽善といわれようと、それを世界に還元すべきで、実行した人は貴族になったっていい。ぼくはそう思う。そういえば、最近ボノも「ナイト」の称号を与えられた。外国人だから「サー」ではなく「ナイト」だそうで、マドンナがもらってもおかしくはない。もっとも、彼女にはその前に、グラミー賞が与えられるべきで、今までもらっていないのは何ともおかしな話である。 |
感想をどうぞ |
---|