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![]() ・たとえばキャロル・キングは僕が小学生の頃からのヒット・ソング・ライターで「ロコモーション」をつくっている。僕はよく聴いた覚えがあるが、そのときにはだれが作ったかなんて知らなかったし、どうでもよかった。歌っているのはリトル・エヴァだったか。しかし、今では顔も覚えていない。同じ頃にヒットしたニール・セダカの「オー・キャロル」は彼女のことを歌っているのだという。この曲もよく聴いたが、そんなことは知りもしなかった。 ・キャロル・キングは1942年生まれだから、もう60代の半ばになる。ライブの「The Living Room Tour」は去年の発売だが、ジャケットの写真も若いし、声もほとんど変わっていない。会場に集まったのはおそらく長年のファンが大部分なのだろう。曲の合間のおしゃべりも気さくだし、歌の際にも会場からの歌声がよく聞こえる。ヒットした歌が中心で、アルバムタイトルのように、彼女の居間に友達を招いて歌っているという雰囲気である。アンコールはその「ロコモーション」。 ・キャロル・キングというと「タペストリー」が有名だが、僕は1970年に出た「ライター」が好きだ。ソロ・デビューのアルバムなのに、若いジェームズ・テイラーを従えていて、僕はそれで初めて彼を知った。イケメンのかっこいいシンガーで声も優しかったが、その時代にしっくりくる内省的な歌だったから、僕はよく聴いた。それが「アイム・ノー・ヴァージン」なんていう当時では過激な歌をさわやかに歌ったカーリー・サイモンと結婚したから、意外な感じがして驚いてしまった。ちなみに15年ほど前に大阪で彼のライブを聴いたが、もうすっかり頭が後退していて、ステージに登場するとすぐに客席から「ハゲー」と声がかかって大爆笑。しかし彼はいつもどおりに「ハーイ」とやったから、また大爆笑。息子まで出ていて「The Living Room Tour」同様、楽しいコンサートだった。 ![]() ・彼は僕よりも3ヶ月早く産まれている。だからほとんど同世代だといっていい。ジェームズ・テイラーと同様、静かで内省的な歌が多いが、政治的なメッセージのある歌もかなりある。1979年に起きたスリーマイル島の原子力発電所での放射能漏れ事故に抗議して「ノー・ニュークス」コンサートを企画したり、レーガン政権を支持するアメリカの右傾化を皮肉ったアルバムを出したり、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)を批判したアルバム「サン・シティ」にも参加している。 ・「ソロ・アコースティックvol.1」では、そんな初期の頃から最近のものまで幅広く歌っている。ただし、僕が知っているのは半分ほどで、80年代後半からのものははじめて聴いたものばかりだ。 僕は家を借りる 高速道路の陰だ・あらためて、探すとふたりともアルバムを出し続けている。それほど話題にはならないが、いいなと思う歌が少なくない。アルバムも買ってみたいし、こんなコンサートならぜひ行ってみたい。そう思うと、またあらためて、日本人にはそんな気持ちにさせるミュージシャンがいないなとつくづく感じてしまう。 |
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