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![]() ・ユッスー・ウンドゥールの音楽の魅力は、何と言っても明るいサウンド、軽快なリズムだ。しかし、いわゆる伝統的なアフリカ音楽とは違う。ロックだし、歌詞の多くは英語だから、それほど異質な音楽だという感じは受けない。彼の国はセネガルだが、歌は確実に世界を意識して作られている。そしてまただからこそ、その明るいサウンドとは裏腹の歌詞にも、したたかな計算が伺える。彼が歌うのはまさにアフリカの現実で、それを世界中に訴えようとしているのだ。 ![]() ・ユッスー・ウンドゥールは1959年生まれだから、今年で45歳。デビューは74年で15歳の時だというから、すでに30年のキャリアになる。アルバム「JOKO」にラーナーノーツを書いている北中正和によると、生まれたのはダカールのメディナ地区で、ここは植民地として統治していたフランスが自分たちが住む場所とは区別してセネガル人を押し込めたところだという。アルバム「SET]には、そのメディナを歌った曲がある。 ![]() そう、メディナ、オー、メディナ ![]() ・僕が持っている彼のアルバムで一番古いのは「SET」で1990年の作品だが、1992年の「eyes open」と1999年の「JOKO」や2002年の「Nothing in Vain」を比べてみると、サウンドがシンプルなものから複雑なものへ、アフリカ的なものからロックへと変わっていることがよくわかる。ワールドカップなどの世界的なイベントに参加したり、CMに使われたりといった点とあわせて、「商業化」の好例だと言われかねないけれども、その歌の中身を聴くと、彼の姿勢に変化がないこともわかる。 ![]() ・僕が聴いていていいと思うのは、やっぱり最近のものだ。耳に違和感なく入ってくるし、アフリカの音楽だといった「ワールド・ミュージック」のレッテルを貼る必要も感じない。それは、世界言語としての英語に翻訳された歌詞であり、耳障りをよくするためにオブラートでくるんだ音楽であるかもしれないが、だからこそ、今のアフリカを物語る「グリオ」の声として聴くことができる。 ![]() |
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