CD Review

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●最近買ったCD


Patti Smith
"Land(1975-2002)"

  • パティ・スミスがベスト・アルバムを出した。2枚組で30曲。ぼくはほとんどもっているのだが、ライブがかなりはいっている。で、仕方なく買ったのだが、一気に聴くと、またちがった感じがしてなかなかいい。デビューは1975年だから27年間の総括ということになる。しかし、彼女は後ろは振り返らないという。
    私は過去とファックはしない。
    いつも未来を相手にしてきたから
    私が愛撫したステージや壁が私の胸に傷をつけた
    その木に刺さった一本一本のボルトが
    丸太と同じくらい好きだった
  • パティは積極的にライブ活動をしていて、日本にもやってくるようだ。ぼくは97年に大阪で彼女のライブを見て以来だから、行きたいのだが例によって、断念した。もっとも、去年のフジロックはWowowで見た。苗場なのに「フジ、フジ………」としきりにいう。富士山の霊験を呼び寄せているかのようだったから、「そこはフジじゃないよ。誰か教えてあげればいいのに」といいながら見た。ニール・ヤングともども、ありったけのエネルギーを振り絞るようなパフォーマンスだった。
  • "Land"を買ってから、通勤中の車の中や、仕事部屋でボリュームを思い切り上げて、何度も聴いている。エネルギッシュでパワフルだから、ついついアクセルに力がはいって、気がつくとびっくりするようなスピードになってしまう。はっと、我にかえって足の力を抜く。魔女の誘惑………くわばらくわばらである。
    夢のなかで夢を見た
    輝きと望み
    眠りからさめても
    夢は明るい峡谷の姿をして
    私にまとわりついた
    澄んだ空気と新しく自覚する感覚
    人びとが力を取り戻した
    力をもった ("People have the power")
  • アルバムには若死にした前夫、リチャード・ソールの写真とスーザン・ソンタグの手紙が添えられている。「ここにある声はどれも矛盾している。異なる歌が同時に響きあっている。………退屈ではない。失望もしない。女たちは生意気で、セクシーだった。あなたのおかげ。大切な友だち。音楽はどこにでも入りこむ。口の中。脇の下。股の下。音楽は飛びあがり、飛び過ぎる。………あなたはどこかに行って、また戻ってきた。あなたは歯をむき出しにする。その笑いはいまでも魅力的でたまらない。夜に戻り、あなたの生活に戻りなさい。気勢を上げ、うずくまり、飛び上がって、叫べ。征服者に向かって。」
  • "Land"の一枚目は、ファンがパティのために選んだもの、そして二枚目はパティがファンのために選んだもの。確かに、一枚目はヒット曲が多く、アルバムからの再録がほとんどだ。二枚目はライブやデモテープが多い。もちろんぼくは、パティが選んだ二枚目の方が好きだ。



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