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![]() ・ニュー・アルバムはなかなか出なかったが、R.E.M.の活動はマイケル・スタイプを中心に積極的だったようだ。京都駅でやった「パティ・スミスの絵画展」への写真の出品や、中国のチベット弾圧に抗議して継続的に行った"Tibetan Freedom Cocert"などにも参加している。あるいは、70年代のイギリスを舞台にしてグラム・ロックのスターの誕生とその運命を描いた映画"Velvet Goldmine"のプロデュースもやったようだ。これは、彼が音楽以外のことにいろいろ関心を向けはじめていることを教えてくれたという点では収穫だが、最後まで見ているのがいやになるほどの駄作だった。 ・で、かんじんの"UP"はと言うと、名前とは裏腹に聴いていると沈み込んでしまう。決して悪くはないのだが、エネルギーがない。メンバーが一人抜けたようだから、そのあたりが原因なのかもしれない。サウンドに新鮮みはないし、ジャケットも地味で何の魅力も感じない。けれども、歌詞を追いかけていると、実はそれが意図やメッセージなのではと思いたくなった。歌の題名だけあげても"Suspicion" "The Apologist" "Why not Smile" "Falls to Climb" "Diminished"とあって、おまけに"Sad Professor"などといったものまである。 ![]() ぼくはみんなに謝罪人と呼ばれるが、今はそれが一番ひどい ・ぼくは音楽雑誌はほとんど読まないから、近況や心境など詳しいことは何も知らないが、R.E.M.は、ということはつまりマイケル・スタイプは今、変わり目のところにいるのかもしれない。繰り返しアルバムを聴いているうちに、そんな気になって、それは聴けば聴くほど確信的な思いになってきた。だとすると、"UP"というアルバム・タイトルも、沈んだトーンの中身の意味もわかりやすくなる。もちろん、いつでも、音楽に意味を求めようとは思わないが、そんなことをあれこれ考えさせるものであることはまちがいないような気がする。とは言え、これはひょっとしたらぼくの贔屓目なのかもしれない。ぼくはそれだけ、マイケル・スタイプには惚れ込んでいるのだから。 |
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