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![]() ![]() ・フィオナ・アップルの "Tidal" はマッキントッシュでビデオ・クリップを見ることもできる。MTVの授賞式では「こんなところにいる場合じゃないのよ」といったことをしゃべって社会派のシンガーのような印象をもったが、レコード会社の周到な宣伝戦略のもとに売り出された新人であることに変わりはない。歌詞は恋人や父親との関係を歌ったものが多い。私小説風な世界を作り出すのは、アラニス・モリセットとも共通している。似ているのは声や歌い方や曲の感じばかりではない。メレディス・ブルックスのアルバム "blurring the edges" には歌詞がついてないが、こちらもシェリル・クロウによく似ている。
・グラミーのベスト・アルバム賞をボブ・ディランが取った。たぶん、20世紀後半のポピュラー音楽の方向を作ったミュージシャンに対する評価という意味あいだろうと思う。他にジェームズ・テイラーやジョン・リー・フッカーとヴァン・モリソンも賞を与えられた。 ![]() ・ロックはずっと白人の男たちの作る音楽で、黒人たちはR&Bとして区別され、女性たちは添え物のようにして扱われてきた。ところが、ここ数年はラップを中心としたアフリカン・アメリカンたちの勢いと女性シンガー・ソング・ライターの元気さばかりが目立っている。白人の男たちでがんばっているのはクラシック・ロックというジャンルに入れられている大御所ばかりだ。去年のグラミーだって確かエリック・クラプトンだった。 ・ラップはすでに一風変わった一時的な音楽とはみなされなくなってきている。それに比べると、新しい女性シンガー・ソング・ライターの続出という現象は、まだまだ一つのジャンルとして定着してはいない。シェリル・クロウの2枚目のアルバムは1枚目ほどよくはないし、アラニス・モリセットの2枚目はまだ出ていない。新人に自分の世界を先取りされた感じだが、だからこそよけいに、フィオナもメレディスも次のアルバム作りはなかなか大変だろうと思う。しかし、カーリー・サイモンやジョニ・ミッチェルが作り出したのとはちょっと違う、女たちのロックの世界が生まれはじめていることは間違いないし、ぼくはそのことに大いに関心がある。 |
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