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・スティングの「57th & 9th」は3年ぶりのアルバムだ。前作の「ザ・ラスト・シップ」は造船業で栄えた故郷の街を舞台にしたミュージカルをアルバムにしたものだった。不況で造船業を解雇される人たちやすさんだ街で、司祭が自分たちのために最後の船を作ろうとする物語だった。 ・「57th & 9th」はニューヨークの通り名がタイトルになっている。セントラルパークに近い一角だが、この題名の歌はない。ただし、CDにはこの通りについての思い出を書いた文章がある。スタジオに出かけるときによく通った場所だったようだ。 ・17年ぶりにロックのアルバムと言った宣伝文句があって、確かに「ポリス」時代の音を感じさせる曲が続いている。17年前というと「ブランド・ニュー・デイ」以来ということになる。最近のスティングのアルバムは、古楽を現代風にアレンジしたり、持ち歌を管弦楽にしたり、冬をテーマにしたアルバムだったりした。僕にとっては、家の中から雪景色を見るときに最適な音楽だった。 ・それはそれでどれもよかったが、今度のアルバムは、原点回帰のようで懐かしさを覚えた。5万人の聴衆相手に歌った人の歌、考えずにはいられない人だったと歌った歌。最近続いて死んだミュージシャンのことだろうか、などと考えながら聴いた。それにしても今年は多くのミュージシャンが死んだ。 ・ヴァン・モリソンの「キープ・ミー・シンギング」はいつもながらのモリソンだ。70歳を過ぎているのに相変わらず精力的で、一度は生で聴きたいと思ってきた最後のミュージシャンだが、日本には来そうもない。4年前のアルバムは「歌うために生まれてきた」で、その4年前のアルバムは「シンプルのまま」だった。今回のは「歌い続けて」といったタイトルだ。 ・「いつでも海を見る」とか「寒いところにまた出よう」といった日常を歌った歌が多い。その「思い出道」には次のような一節がある。 しばし立ち止まって、見知らぬ人に尋ねた・グリーンデイの「レボリューション・ラジオ」は「アメリカン・イディオット」以来、久しぶりに買おうかと思った。うるさいけれども案外メロディがきれいで、歌っている内容も興味深い。そんな感じだった「アメリカン・イディオット」以来の傑作といった批評もあった。確かに悪くない。 ・ドラッグやアルコールで自分を見失う。忙しさにかまけて夢を置き忘れる。殺伐とした事件が頻発する。生きにくい社会。自分のことでもあり、今のアメリカで生きる人々のつぶやきや叫びでもある。ただ乗りのいい景気づけだけのロックではないところが、このバンドの魅力である。 |
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