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![]() ・タイトルは"Tepest"だから大嵐とか大騒ぎといった意味になる。アルバム・タイトルになった曲は沈没したタイタニック号の物語を14分もの長さで語っている。もっとも語っているのはこの歌に登場する「彼女」である。アルバムの収められた曲にはこのほかにも、物語風に仕立てられたものが多い。最後の"Rll on John"(急げジョン)はジョン・レノンを語っている。 急げジョン、雨や雪にめげずに進め・今年ディランはオバマ大統領から「大統領自由勲章」を授与された。その様子はyouTubeで見ることができる。オバマはディランが「音楽に社会意識を与え、次に続く道を切り開いたこと」を讃え、現在もなお精力的に活動していて、自分も大ファンであると語っている。ディランは例によってサングラスで無表情だが、居心地が悪いというふうでもない。こんな場にもすっかりなれてしまったせいだろうか。 ・彼はすでにオスカーもピューリッツアも受賞しているし、名誉博士号もいくつもの大学から授与されている。フランスの文化勲章。スウェーデンのポピュラー音楽賞と外国でもらったものも少なくない。後残るのはノーベル賞ぐらいで、これも以前から何度も話題になっている。しかも、彼の活躍は21世紀に入ってからも衰えていない。前作の"Together through Life" は初登場で米英で1位を記録したし、その前の"Modern Times" は200万枚を超える売り上げだ。おそらく、今度のアルバムも売れるだろうと思うが、日本ではいつでもほとんど話題にならない。 ![]() ・ほかにも昨年大騒ぎになった「ウォール街を占拠せよ」を応援する "Wall Street Part of Town" 、アフガニスタンで捕らえられた捕虜が送られる「グァンタナモ基地」のひどさを歌った "Guantanamo" などなど、共和党批判に溢れている。とは言え、曲自体はバラエティに富んだアレンジをしているし、ギターさばきもいつもながらすばらしい。 ・この2枚のアルバムを聴いていて思ったのは、いつもながら、ポピュラー音楽がもちうる力のことだった。で、やっぱりつづいて思うのは、他のポピュラー文化に比較して、日本の音楽状況がなんと貧弱なことかということだ。映画や文学やアニメではかなりのレベルのものが作られているのに、音楽はくずばかり。もうとっくにあきらめて見捨てているが、しかし、なぜそうなのかを考える価値はあるのだろうと思う。 |
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