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●最近読んだ本 |
4月28日 |
橋山禮治郎『リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」』集英社新書 本間龍『原発広告』亜紀書房 |
![]() ・『リニア新幹線』は、問題点を完結にわかりやすく指摘している。まず、東京・大阪間を1時間で移動する必要性がどれだけあるかということ、そのために、南アルプスをぶち抜くトンネルを作ること、ルートの7割以上がトンネルで、場所によってはかなり深いところを走ること、乗客はもちろん、沿線住民が強い電磁波にさらされること、そして原発数基分の電力が必要であることなど、リニアは実際、無意味で危険なことこの上ない鉄道なのである。 ・JR東海はこの新幹線を国の援助を仰がずに自力で作るという。けれども、実際に収益が上がるのかどうかについても疑問があるようだ。輸送力の増強というけれども、東海道新幹線の乗車率は、現在6割程度で、けっして満杯状態ではないから、リニアができれば、赤字路線に転化してしまうようだ。東海地震が起こったときの輸送経路を確保するといった理由もあるようだが、両方だめになる危険性を想定するのが賢明なのは明らかだろう。 ![]() ・原発広告は大きな事故やトラブルがあると静かになり、そのほとぼりが収まると、以前にも増して大がかりになる。そのくり返しで、3.11前までに総額で4〜5兆円が費やされてきた。著者はその狙いが、国民の洗脳とメディアの懐柔にあったと断言する。安全であること、温暖化を抑え、資源を浪費しない環境にやさしい電力であること、低コストであることなどを専門家を使って説明し、タレントを使って、便利で豊かな暮らしに不可欠であることを吹聴してきた。本書を読むと、その情報操作の露骨さに改めて驚かされる。 ・もちろん、メディアへの巨額な出費は、メディアによる原発批判を抑える役割も果たしてきた。その効果が、原発事故後のメディアの腰の引けた東電批判にまで及んでいることは言うまでもない。新聞もテレビも、原発について、電力会社との関係について、反省はもちろん、振り返って検証する姿勢すら見せていない。 ・リニア新幹線は全国的にはほとんど話題にならず、したがって議論も起こらずに、工事が始まろうとしている。この静けさは奇妙である。動かすためには原発の再稼働が不可避になる。それは地理的にも浜岡原発以外にはあり得ない。列島を貫く大断層であるフォッサマグナにトンネルを掘ることなど、危険性は数知れない。そもそも、これから人口が減少し、経済的にも成長は望めない日本に、こんな鉄道がなぜ必要なのだろうか。 ・工事がいつの間にかはじまり、本格的になった頃に、リニアには原発が必要だといった宣伝が大々的に行われる。大きな地震がなければ、原発の再稼働も本格化する。この2冊を読んで、そんな悪夢を想像してしまった。 |
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