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●最近読んだ本 |
11月09日 |
インターネットの現在・過去・未来 ジョナサン・ジットレイン『インターネットが死ぬ日』ハヤカワ新書 ジェイムズ・ハーキン『サイバービア』NHK出版 |
![]() ・この本によれば、インターネットの未来が問題なのは、あまりに巨大になりすぎた現状にある。ただし、それは大きさ自体にではなく、大きくなったゆえに政治力や資本に左右され、専門家や大企業だけに任されるようになってきた点、あるいは何より、安心して便利につかえることが最優先されるようになったところにある。インターネットは草の根の民主主義から生まれたメディアで、新聞や雑誌、ラジオやテレビとはまったく異なる形で発展してきた。その本来のメディア特性が、巨大化したことで失われつつあるというのである。 ・20世紀に新しく生まれたさまざまなメディアや道具の多くは、完成品として特定のメーカーが生産し、商品として売られてきた。だから利用者には、そのハードもソフトも、自ら改良して使いやすくしたり、新しい機能を追加することなどはできなかった。不満を聞いて改善するのはあくまでメーカーの責任と権利で、それが次の新商品のセールス・ポイントにもなってきたのである。ユーザーが勝手に手を加えることは主として安全性の観点から法律で厳しく規制されてきた。しかし、パソコンとインターネットはまるで違う。 ・インターネットとパソコンの特徴は,さまざまな人びとが夢を描き、アイデアを出し、実用化し、改良してきたことにあり、それを無料か少額の使用料で共有し合ってきたことにある。パソコンはAppleやIBMが商品化し、日本をはじめ世界中にメーカーが開発にしのぎを削ってきた。それを動かすソフトはMicroSoftの独壇場だが、新しい世界の開拓には、無数の人たちによる自由な競争や協力の成果であるものが少なくなかった。インターネットはまさに、その好例だと言えるだろう。 ・ユーザーを利用だけに限定して、製品やサービスの機能の改善や開発はメーカーがおこなう。ジットレインは、パソコンやインターネットが、そういった発想の通用しないところで発展したことを力説する。そして同時に、巨大な企業によるユーザーを利用者として限定する新たな戦略の普及に危惧を抱く。ハードもソフトもブラックボックスになっていて、利用者には手も出せない。その例としてIphoneやXBoxの普及をあげるのだが、日本のケータイはその典型だと言えるだろう。 ![]() ・パソコンとインターネットはハードもソフトも、誰もが自由に参加して、新しい使い道を探し、改善できるメディアである。だからこそ、ウィルスが蔓延したりもする。商品として売られている映画や音楽が無償でダウンロードされて被害を被ったりもする。そういったリスクを防いで安全に使えるメディアにすることが何より必要だと考えれば、それに応じてさまざまな制限が施されることになる。しかしそれは、当然、これからも生まれるはずの可能性を摘むことになるし、人びとを受け身のユーザーに限定していくことになる。インターネットの未来は確実に、国家や企業のもとに舵きりがされはじめているのである。 |
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