新刊!!
世界思想社刊




『新版コミュニケーション・スタディーズ』

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本文から
 「コミュニケーション」(Communication)はcom(共に)を意味する接頭辞とmunicate(有する)の結合したことばです。「共有」するために「伝え」たり、「かかわる」行為が「コミュニケーション」の意味になりましたが、「共有」した状態については「コミュニティ」(Community)ということばがつかわれます。

 ですから‥‥‥

 「コミュニケーション」について考えようと思えば、「コミュニティ」について考える必要が出てきます。

 けれども‥‥‥

 ふたつの関係を考えることが、英語を母語にする国の人たちには重要であるのとは対照的に、日本では、それぞれ別々にあつかわれて、「コミュニケーション」だけが、身近なものになっているのが現状でしょう。

 つまり‥‥‥

 「コミュニケーション」と「コミュニティ」を関連したものとして理解していないことが、日本人にとっての「コミュニケーション」の特徴と問題点を解明するひとつの糸口になると言えるのです。

 そもそも‥‥‥

 「コミュニケーション」に人びとが自覚的になったのは、人びとの関係がたがいに慣れ親しんだ「コミュニティ」を基盤にしたものではなく、自立した個人によって自発的につくられ、維持されるものにかわったからでした。

 その意味では‥‥‥

 「コミュニケーション」は、伝統的な「コミュニティ」が失われ、一人ひとりが「アイデンティティ」を自覚し始めた時に発見された、ということができるでしょう。


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